イメージ力は、コミュニケーション力

イラストをもっと描こう

ぼくは海外長期滞在者のクセに言語オンチで、長く使ってる英語やドイツ語ですら、いまだに 「こんな簡単ないいまわしも出来ないのか・・・」 と落ち込むことも多い。 で、4秒くらい落ち込んで、「ま、いっか」と先に行く。 先に行ってどこへたどり着くかというと、「イメージ」。

はあ・・? Σ(゜Д゜;)

まあまあ、ちょっと一服しながら、おつきあいください。 ひょっとしたら、本日の記事読んだあとで、「仕事方法に変化あるかも?」 です。


さて、「人の話を聞いていたり」、「本を読んでいたり」、「メールを読んでいたり」するとき、ぼくらはアタマの中で、コトバの内容を自分なりにイメージしている。 「田中さん」っていう名前が出てくれば「田中さんの顔」が浮かび、「納期が遅れる」って出れば、納期が遅れる場合の様子やその理由を思い、「北海道」と出れば、広いラベンダー畑や草をはむ牛たちを思う・・・。 そんなふうに、人は自分の頭でイメージしながら、相手のコトバを追い、咀嚼している。 言い換えれば、「情報の伝達手段としてのコトバ」ってわけです。

そんな「コトバによる情報伝達」っていうのは、「実はとても危ういんじゃないか?」と、ぼくは思う。 「"感情は声で"、"説明は文字"で伝えましょう」 なんて、会社のエライ人は「したり顔」でいうけど、ぼくはどっちだっていいと思う。 だって「情報をどう伝えようと」、肝心なのは伝えようとする「相手の解釈」にゆだねるしかないからだ。

「相手の解釈」、つまり「相手がもってしまうイメージ」だ

こちらが伝えたい情報を正確に伝えたいのなら、相手のイメージに限りなくダイレクトに伝わる「工夫」をすればいい。 早い話が、「イメージで相手に伝える」ということ。 もっとツッこんで言えば、「相手の脳裏に、伝えたいイメージを「直接」 描いてあげる」わけだ。
「道に迷っている人」には地図を描いてあげたり、「どんな人?」ってきく相手には、「その人の写真」を見せてあげたり、なんてのはその一例ですね。

ぼくは客先の会議室に入る瞬間、まず最初にそこに「ホワイトボード」があるかどうかを確かめる。 ない場合はA3サイズのコピー用紙を数枚、用意してもらう。 ぼくは会議場でものを説明したり、説明してもらったりするときは、必ず絵を使う。 大事な単語や数字は、コトバで説明しながらもどんどんそこに書き込む。 これを徹底してやってきた。ご存じの人、多いですよね?
「アイツがしゃべるとインクが減る」 なんて、言われてますから(笑)


例えば、中国にある委託製造会社に、「この製品」を、「10万個」、「こんな仕様」で、「いつまで」に、「どんな手段」で、「納品」してもらいたいかを伝えるとき、「」の部分を全部、"絵"にしたり"数字"にするなどして、ボードや紙に描く。 強調したいところは、赤文字でぐるぐるぐるぐるっと、丸で囲むといい。

こうして「相手のさまよいがちなイメージ」をシッカリ固定するわけです。 できるだけダイレクトに、相手の脳裏に「イメージ」を描き込んであげるわけです。

「なおきんはイラストが描けるからそんなこといえるんだ」
なんて、お願いだからそう思わないで欲しい。 ぼくのイラストがウマイかヘタかは別にしても、ぼくはこれまで、一貫して「情報を伝え」、「情報を受ける」ことを念頭に「イラスト」を描いてきた。 「描きたいから描く」というよりは、「伝えたいから描く」といったふうに。

ひとは、「誰かに伝えたいから絵を描く」
ひとは、「誰かに伝えたいから写真を撮る」
それは、「イメージには伝播力」があることを、経験的にまたは感覚的に知っているからだ。

イメージ力とはまた、コミュニケーション力でもある


そして、コミュニケーションはなにも、「言語力」だけを必要とするわけではない。 むしろ「言語」だけに頼ることを恐れて欲しい。

「それ、前にも言ったじゃないか!」
と腹を立てる前に、まず「相手に正確に伝えたのかどうか」、さらには、「強く印象づける工夫をしたかどうか」、自分を省みて欲しい。

そんなアナタがもし、「イラスト力」をつけたいのなら、いい方法があります。
それは、親しい人と「絵と数字だけで会話」をしてみること。 実はこれ、ものすごく効果がある。 そして、なによりも楽しい。 どんなシリアスな内容でも、笑いながら会話できること請け合いです。 続けていくうちに、コトバに拘束されがちな表現力が、絵になることで一気に解放されるヨロコビを見つけることでしょう。 あと、ノートにメモするとき、できるだけ「絵」を入れてみてください。 あとでそれ見ると、そのときの情景がありありと浮かんでくるものです。
「どう見てもイヌにしか見えないネズミ」
「どうやったって、装甲車になってしまうアブラゼミ
「メガネに見えてしまう自転車」
っていう会話も、味があっていい。

絵を描いたり、描かれたりするのは楽しい


それは、「伝えるパワー」と「伝わるパワー」をもっているから、です
言語を越え、国境を越えて・・・