中国プロパガンダ絵

中国の農家

1970年代のプロパガンダポスターが異常に好きだ。
特に中国やソ連(当時)といった共産国のそれは、エキゾチックでダイナミックな躍動感に満ちている。やはり革命色の"赤"に脳が興奮するんだろうか?
中国共産党のそれは、特に農村をテーマとしたものが多く、描かれた人々はみな一様に白い歯を見せて笑っている。愛らしいパンダのイメージとも相まって、それなりにプロパガンダ効果はあったのだろう。「中国ってなんて平和で純朴そうな国なんだろう。」と思っていた日本人はぼくだけではなかったはず。外務省の役人からはじまって、教師、マスコミ、そして、全学連に憧れていたうちのバカ兄に至るまで、みな一様にそう思っていた。 「中国ってどんな国なんだろう?」 という好奇心は、そのまま「プロパガンダ絵への関心」へとつながっていたのかもしれない。
(なぜに湖上に金魚?)
もちろん今では、そんなふうに手放しで中国を称賛する人たちは少数派となった。80年代(とう小平)の開放政策は、経済発展と同時にこれまで秘密のヴェールに包まれた神秘的な中国を、白日の下にさらすことになった。 以来、ぼくらは「不潔で悪意に満ちた中国」をも知ることになる。 中国の国境を越えたとたんぼくらは身を固くし、不幸な野良猫のように、心なしか辺りの人間を警戒しながら歩いている。これは本当に疲れる。 呼吸が増え、肩がこってくる。【参考資料:中国に対する親近感
あるとき、「中国は初めてなんです。」という年配の日本人ビジネスマンと食事中、話題がこのプロパガンダ絵のことになった。
「いやあ、すっかり騙されてましたよ、あの絵に。」 ぼくが自嘲気味にそういうと、その人答えて曰く、
確かに今の中国はすたれたねえ。あのころは、ホントに平和でよかったのに・・・。
おっさん、まだ騙されてるがな・・・。

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