ハイスクールララバイ

きょうは5月5日、
さすれば「イラ写」のテーマは"男の子"。

ぼくは70年代後半から80年代前半にかけて「思春期」を過ごした。 "キャンディーズ"が解散し、ロンドンから"第一次パンクブーム"がやってきた。 YMOが"テクノポップ"が流行(はや)らせ、　「"松田聖子"と"田原俊彦"を並べてテレビ欄に載せるな」と、ファンから苦情が出ていた時代だ。
今の男子学生より"セックス"がお手軽でなかった当時のぼくは、そのぶん想像力と情操感が育まれやすい環境にあった。 ケータイもネットもなかった時代、電話をかけても、「どなた？うちの久美子(仮名)とはどういったご関係で？」と、なかなか取り次いでもらえない。 仕方なくぼくは、彼女の家へと無灯火のまま自転車をこぎ、部屋の窓ガラスに小石を投げた。 近所の犬に吠えられ、ケーサツにひっぱられそうになったこともある。 そして実際にケーサツにひっぱられたこともある。 小石を投げたからではない。 新幹線で無賃乗車が見つかったからだ。
授業をサボり学生服のまま、ぼくは好きだった彼女を連れて、100円の入場券を握りしめて大阪行きの山陽新幹線に飛び乗った。 あの頃は若くて、恐いものはなかった。「駆け落ち」というコトバの蜜ツボを、二人でむさぼりたかったのだ ・・・ というのはウソで、本当は彼女が約束した
「もし、大阪にたどり着けたら、ホテルに行ってもええよ」
という、「条件付きエッチ」に賭けたのだ。
果たせるかなしかし、「福山駅」を過ぎたところで、ぼくたちは車掌に見つかり駅弁も食べ終わらないうちに車掌室へ連行された。 そして次の停車駅、「岡山」で降ろされ、逆方向の山陽新幹線に乗せられてしまった。 ムスコは萎え、野望は打ち砕かれた。 彼女にどこか、安堵の表情がみられたのが、切なく悲しかった。
あげく、

[(広島-新大阪 乗車・特急券) x 3倍 + 駅弁代)] x 2人分での合計、約5万円の出費は全部ぼく持ちだった。
親には、「情けないよ、まったく」と泣かれ、
彼女の両親からは、永久立ち入り禁止令
そして高校からは、3日間の停学を言い渡された
無条件降伏、しかしそれは覚悟の上だった。
しかし、エッチできなかったのは今でも痛恨だ (￣‥￣;)

こんなふうに、当時のヤングにとって"セックス"とは、「かくも難易度の高いもの」(オマエは特にな) だったのだ。 そして"セックス"は"少年の冒険心"なくては、はじまらない。

香港の地下鉄の車内、あたりまえのようにキスをし、いちゃつくカップル。 出来ることなら、はり付いた二人を左右にひっぺがし、「ひろみGO」の往年の名曲"よろしく哀愁"を聴かせてやりたい。

"逢えない時間が、愛、育てるのさ。 目をつぶればキミがいる"

いまでもときどき、「新大阪到着」に成功した夢を見ることが、ある。

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