自己批判広告

セブンイレブンのタバコ陳列棚で驚く

「な・なんじゃ・・あれは!?」
バンコク市内のセブンイレブン、レジの後ろにあるタバココーナー。 おなじみマイルドセブンも陳列されてます。でも、パッケージがいつもとチョット違う。いや、だいぶ違う。
よくみると正面上半分に、「紫煙に包まれた幽霊のようなおばさん」が印刷されている。「腐った前歯」が写っているのもある。別のタバコには、「鼻にチューブを差し込まれて横になる半裸男性」、さらにグロテスクな「切り開かれた肺の写真」なんてのもある。趣味が悪いなんてモンじゃない。コレは誰かのイタズラか!?はたまた新手のブラックジョーク!?
実はコレ、新しい法律*1なんだそうです。『タバコのパッケージの表裏に面積の半分以上、タバコの害が伝わる写真と警告文を掲載すること』が義務づけられたとか。つまり、これまでの警告文『吸い過ぎに注意しましょう』だけでは、今ひとつリアリティが伝わりにくいので、「喫煙し続けると、こうなっちゃうんだぞ!」的な写真を載せてばしっと警告ってことでしょうか? こんなパッケージのタバコを子供が家で見つければとーぜん、「パパ、やめろよ。死んじゃうよ。」ってことになるだろうし、キャバクラあたり、客のタバコに火をつけていたオネエちゃんも、「イヤダァ、もう火つけてあげない!」となる。
21世紀になってますます混沌とする世界、いったい人類は進化しているのか退化しているのかわからなくなってるけど、この「禁煙キャンペーン」ってのは確実かつ力強く進行しています。マルボロカウボーイが目を細めながら、たき火の前でワイルドにくわえタバコに火をつけてみせていた時代とは隔世の感があります。
この法律を先に施行する4カ国の効果の具合から、追従する国もでてくるでしょう。今年からレストランやパブで全面禁煙になる香港あたりは可能性大。愛煙家には耳が痛い、いや目が痛い、そんなイメージ警告表示ではあるけど、健康志向を促進させるいいきっかけにはなるはず。
でも、「これ、身体に悪いから買うんじゃないよ!」と自ら宣伝しなくちゃならないタバコ会社に、ビジネスマンとしてちょっと同情。株など暴落しそうですね。また、タバコに続け!とばかりに"酒類"なんかも、やがてこうなるんでしょうか?
昨今の"健康まっすぐ症候群"が跋扈(ばっこ)する社会、ぼくにはどうにも座り心地が悪いというか、消化不良を起こしちゃうというか・・・・。
「あなたの言うことは正論、でもね・・・」の"・・・でもね"の後が封印されちゃう社会ってどこか、ニコチンとは違った意味で不健康な気もするのです。

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  • 自己批判広告のタバコ (タイで購入)

    写真と警告文は保険省が用意したものを掲載しなくてはならない。"タバコを吸うと"、それぞれ「早く老ける」、「肺気腫になる」など6種類が用意されているという。ちなみに撮影は3月18日当時のもの、つまり一部の銘柄は指定日を数日前倒しで施行している。

    *1:3月25日より、タイ、カナダ、シンガポール、ブラジルで施行される