日・港、思いやり対決

ハサミを貸してもらえない?

香港へ住み始めてから、ず〜と気になっていることのひとつに、
「逆さまにするの、なんでだろう?」
というのがある。別に"福"ポスターではない。香港の本屋さんのことだ。どの本屋の店員も、買った本を頭から袋につっこんじゃう習性がある。これだと、手に提げると本の上部が底にきてしまう。袋を持ち歩いている間、ずっと本は逆さまだ。これは、なんとなく据わりが悪い。パンツを、まえうしろ逆に履かされた気分だ。トイレで困ってしまう気分だ。
「これって、なんか失礼じゃないか?だいいち、思いやりに欠けている」
そう思ったら、試してみたいのが人情。題して、
「検証:香港人と日本人、どちらが思いやりがあるか?」
さっそくオフィスのスタッフ相手に実験開始。ここで昨日同様、ケリーに登場を願う。
「ねぇケリー、ハサミ貸してもらえない?」
日本では、"先のとがったもの"を相手の方に向けるのは非礼とされる。当然、ハサミも自分の方に刃をむけて相手に渡す。相手へ非礼無きよう行動するのが日本人、実に思いやりあふれる行為だといえよう。はたして香港人はどうなのか? 日本人を超えるハサミの渡し方ができるのか?もしそうなら、"逆さま本"のことは水に流してあげようぞ。
ケリーは何事かと不審そうな顔をひととおり向けた後、がぁっと引き出しを開ける。そして中からハサミをひょいとつまむと、ぼくの手のひらにぽとんとおいた。刃は真横。う〜む解釈に困る、これは引き分けか。
次に、アンドリューに同じ実験をした。
彼はめんどくさそうに、ハサミがつっこんであるペン立てごと、こちらも見ないでぼくに渡す。刃はペン立ての底へ向いている。だから、いちおう相手に刃をむけてはいないが顔も向けていない。う〜む、これも難しい。で、やっぱり引き分け!
今度はアリエルの番だ。こっちをみてる。「ヤル気まんまんだな、こやつ。ではいざ勝負!」
「悪いけど、はさみ貸してくんない?」


「こないだアンタに貸して、まだ戻ってきてないんだけど」


この勝負、おあずけ。 
(ていうか、早く返せよハサミ)

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