暗雲立ちこめる日中関係

「なぜ、日本ばかりが悪者に・・・」

今日も訪問してくれてありがとうございます。
でも、「本日のイラ写」は、あまり居心地が良くないかもしれません。 毎日おキラクに暮らしているなおきんですが、以下のことは香港に住んでいる以上、そしてあの5月4日がもうすぐ来る以上、無視できませんでした。いつもより長くなるし、テーマも重いです。でも、ぜひ一読の上、ご自身で考えてみてください。

4月24日の香港の新聞。
各紙の第一面は、いずれも「小泉首相胡錦涛主席が握手する姿」がドカーンと載っていた。懸念されていた「反日運動」は、デモ隊が中国各地で解散させられ、一部首謀者が逮捕されるなど、ようやく「当局」による本格的「火消し」が功を奏した(ような)様相。まずは、在中日本人のダレもがホッとしたはずだ。香港で発生した反日デモも小規模(70人程度)なもの。むしろ、「中国中央政府の香港介入」に対するデモ(1500人)の陰に隠れた感じだ。
「"反日デモ"はこれでなくなるのか?」
「"日本人"や"日本企業"に対する攻撃は減る傾向にあるか?」
残念ながら、ぼくの答えは"NO"。むしろ、これからますます陰湿化・暴力化していくような気すらする。あまりの不気味さにゾッとするほどだ。
まるで、小泉さんが胡錦涛の元へ駆け寄ったかのような「握手写真」。 中国政府の狙いは、「一連のデモの成果で、日本を反省させた」ことを世界にアピールするものだった。そして、日本に対し「論より行動(words after action)」と言い放ったのである。「反日デモによる被害への謝罪」どころか、日本の"歴史教科書問題"、"領土問題"、"靖国参拝"、こうした一連の反中行為に対し、「反省したことを直ちに実行に移しなさい」と、叱責した感じなのだ。
なんじゃ、そりゃあ!」(ジーパン刑事"松田優作"の言い方で)
デモ隊を解散させる「説得材料」は、これらを背景に、「おまえたちよくやった。こうして日本もおまえ達の声を真摯に受け止め、反省している様子だから、もう日常に帰りなさい」ということになった。
24日のデモは確かに沈静化した。しかし、次の機会を狙ってじっと様子をうかがう状態に移ったにすぎない。つまり「執行猶予期間」へシフトしただけの状態だ。だから、次に日本が取る態度によっては、「事態はより悪化する」と、ぼくは思う。だって、少なくともデモに参加した中国人は、自分たちが悪いことをしたとはつゆほどにも思っていないからだ。言い換えれば、「いまだ被害者は自分たち」で「正義は自分たちにある」と思って疑わない。「被害者暴走」への根拠はまったく失われていないのだ。
さらに、重大なことは、
中国政府は、こうした反日デモを、「煽り」、「傍観し」、そして「沈静化」させた。まるで、「水道のじゃ口を開け閉め」するかのように。 「反日デモ」もまた、中央政府のあやつるコマの一つにすぎないのだ。 日本では「新しい教科書を作る会」への採択反対集会が開かれ、一方で世論調査は「首相の靖国参拝に反対する」が「支持する」を上回った。 「反日デモ」はりっぱにその役目を果たしたのだ。「もっこりくん達」すら、政府の手のひらで踊らされていた・・・!?
このことが、ぼくを戦慄させる。

しかし、同時に「国際外交は概してこういうものだ」とも思う。事実がどうあれ、声の大きな側の言い分が正義となる。「誠意」とか「情緒」の通じない世界。フェアプレイが伝わりにくい世界だ。
事の発端は中国の「反日教育」?そうともいえる。けれども、日本政府はともかく、果たしてぼくたち在中(港)日本人や日本企業は、これまで中国(港)人の理解に努めることを、どれだけやっていたか?あるいは、やっていたにもかかわらず、どうして彼らは、あんなふうにいとも簡単に日本人を憎むことが出来るのか?"過去の日本人"ではない、"今の日本人"をだ。内政問題ありまくりの中国だが、こと反日においては、官・民の利害は恐ろしいほどに一致する。
過去4年近くにわたり、ぼくは幾度となく在中日系企業を訪問する機会を得ている。日本人現地駐在員は連日、頭が下がる思いがするほど、現地で奮闘されている。管理業務はもちろん、一般工員がやる仕事ですら、一緒になって汗を流していたりする。
日本製品はどこの国の製品より品質が良い」
「日本人は親切で礼儀正しい」
「日本は多大な円借款を中国に提供している」
しかし、それらのことを奢り、またはあぐらをかいていないだろうか?
「少しは日本人を見習え!」と。
「中国人は信用ならないから、重要なポストにおけない」と。
業務上問題が起こると、一方的にその悪因を現地人や中国のシステムのせいにしていなかったか?「あいつらバカだからさあ・・・」などと。
ここにいくつか資料がある。ソース元は中華英才網、「中国大学生の希望就職先50社 2004年」だ。ベスト10に、日本企業はない。ベスト20にもない。一番評価が高いのはようやく26位の"ソニー"、そして46位の"松下電器産業"。以上である。あの"トヨタ"も"ホンダ"もない。ちなみに一位は"ハイアール"、二位は"IBM"、以下、"中国移動通信"、"マイクロソフト"と続く。*1他にも日系企業に対する意識調査や、日本人に対する意識調査もある。 長くなるから詳細は割愛するが、「韓国企業にも劣る」と言う調査結果だけは、覚えておいてもらいたい。元来、中国人は韓国人をバカにする傾向があるが、「今の日本人」はそれ以下だと言うことだ。
はたしてこれらも、「反日教育の洗脳」といいきれるだろうか?他の外資系企業は、現地で当たり前にやっている、「企業市民活動」をおろそかにしていないだろうか?もしそうだとすると、在米法人ではやっておいて、なぜ在中法人では出来ていないのだろう? 面子をことのほか重要視する中国人に、劣等感を与えるようなことを知らず知らず、やっていないだろうか?

1919年5月4日、北京で学生が行った反日デモがきっかけとなり、中国各地に広がった愛国抗日闘争。このとき、日本は「けしからん!」、「これほどしてやってるのになんて恩知らずなんだ!」と、国内の世論は一気に反中に傾いた。当時は経済大国ではなかったが、軍事大国の一つだった日本。ゆえに、互いに「バカ野郎!」と言い合ったまま、殺し合いへと発展していった。 日本側だけに落ち度があったとは、ぼくは言わない。しかし、肝心なことは戦場は日本ではなく、中国だったと言うことだ。
いまの日本は、その当時と何が成長しているのだろう?と思う。
「軍事」が「経済」に置き換わっただけじゃないのか?


今でも、「旅人のコート」を北風で吹き飛ばそうとしてないだろうか?
「相手のあら探し合戦」に明け暮れていないだろうか?



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▼ 1919年の5・4運動のようす

今年も5月4日がやってくる。 この日はいわば、「反日デモ記念日」といえる。
1919年、北京の学生運動をきっかけに起きた中国の反帝国主義運動。第一次世界大戦後のパリ講和会議で、敗戦国・ドイツが持っていた中国山東省の権益が中国に返されず、日本に奪われた。北京大学の学生らが怒り、講和条約調印の拒否を求めて天安門広場で5月4日、デモをした。これがきっかけで、日本製品ボイコットなど反日運動が中国の各地に広がった。(つづき 引用:毎日新聞)

*1:2003年度は、ソニー17位、松下32位、トヨタ46位だったのがそれぞれランクが転落した