日本人になりたい

香港美女との対談

「日本人になりたい」と彼女は言った。
「どうして?」と訊くぼくに、「だって日本が好きだから」と、当たり前のように答える。
香港最強ブロガー委員会第一回会合」、に参加してくれた唯一の香港人、コニーさんだ。 きっかけは「イラ写」。 「ヤフー・ジャパン」で見つけ、メールで参加応募してくれた。

この彼女の他に、ぼくは過去に2人から同じセリフを聞いたことがある。 その中の一人は、ここで紹介した女性経営者。 この記事内では書かなかったが、やはり彼女も、「日本人になりたい」といっていた。

何気ない彼女たちのセリフだけど、ぼくにはどうしても引っかかるものがあった。 ヒトは、「好きという理由」だけで、「他国人」になりたいと思うのだろうか? 自分に同じ問いをしてみたが、ちっともピンと来なかった。
もっと詳しく話を聞きたい
そう思ったぼくは、さっそくコニーさんに連絡を取り、インタビューを申し込んだ。 そして仕事を終え、9時半に待ち合わせ場所へ向かった。 ブロガーの特権乱用? そうですが、何か問題でも・・・?

▼ コニーさん登場

::::: コニーさんはとてもキレイなんですが、ふだん何を食べてるんですか?

コニー: 何でも食べます。 化粧をとったらキレイじゃないですよー。

::::: 日本語上手ですね、どのくらい勉強したんですか?

コニー: 東京で1年半、勉強しました。 その前から弟と一緒に香港で勉強していました。

::::: たったそれだけで、こんなに上手になるんですか!

コニー: (不思議そうに) はい。 なおきんさんは何年香港にいるんですか?

::::: 4年半です

コニー: じゃ、広東語は上手でしょう?

::::: いいえ、話せませんよ (きっぱり)

コニー: (ちょっと驚いた様子で) どうしてしゃべれないんです?

::::: しゃべれなくても暮らせるからです。 あのー、すいません、ぼくが質問者なんですけど。

コニー: あ、そうでしたね。 ごめんなさい(笑)
こんなふうにインタビューは始まった。 ぼくは、まずコニーさんに香港と日本、それぞれ良いと思うところ質問してみた。 それはまず、本人の主観を話してもらうことで、逆に客観的になってもらおうとする、ぼくの作戦でもあった。

  • コニーさんが思う、日本の良いところ
    • 街がキレイでセンスが良い
    • 他人に親切で礼儀正しい
    • 一生懸命働いている
    • ファッションセンスがいい
  • コニーさんが思う、香港の良いところ
    • 交通機関が便利(特に夜間)
    • 営業時間が長い(飲食店、店舗)
    • 洋服や食べ物が安い
    • 人なつっこい
    • ワリカンをしない

「日本の良いところ」は、つまりは「香港の悪いところ」となるし、「香港の良いところ」は「日本の悪いところ」と表裏する。 初めて日本に行ったとき、清潔な街の景観や、人々の献身的に一生懸命働く姿に感動したという。 若い人達のファッションセンス、化粧、持ち物、そういったモノにコニーさんは羨望し、ときめいた。
コニー: あと、日本人は、仕事の後とかに食事とかに行って、「かんばーい」とかやるでしょ。あれがダイスキなんです。 「おつかれさまでーす」とか、さあ仕事が終わった、楽しむぞ〜って気になります。そんなとき、みんな昼間とはぜんぜん違う顔してる。 頭にネクタイ巻いて歌ったりとかオモシロイ。

 これでしょうか↓ 【 引用 : あるブロガーの一日

::::: 香港の人は「カンパーイ」とか「頭ネクタイ」、やらないんですか?

コニー: やらないですね。 そもそもみんなお酒呑まないし。 めいめい勝手にコーラとかレモンティとか飲んでる。

::::: 何をきっかけに、日本に興味を持ったんですか?

コニー: 安室ちゃんからですね。 あと、スマップも。 最初はキムタクだったんですが、今は中居くんがお気に入り。 彼、ダンスがとても上手なのよ。わたし、ダンスもダイスキで、いまも習ってるんです。

コニーさんは、いわゆる哈日(ハーリー)族といわれる人なのだろう。 歌舞伎や日本文化という「メインカルチャー」ではなく、芸能やアニメなどの「サブカルチャー」を通じて日本を知り、日本を好きになった。 90年代から台湾を中心にアジア全域に渡り、哈日族は存在する。 日本のファッションセンスを取り入れ、自らファッションリーダーを目指して、切磋琢磨する。 実際彼女は、かつてはファッションモデルであり、映画に出演したこともあった。 やがて、ファッション業界に身を投じ、現在は化粧品を取り扱う会社で、店舗の管理を行っている。

::::: 日本人の嫌いなところはどこですか?

コニー: うーん(チョット考え込む)、夜の駅や電車で酔っぱらいが多いこと。 それからナンパですね、風俗店のスカウトとかも多いし。

::::: 香港ではナンパとか風俗スカウトはないんですか?

コニー: ないですね。 街で突然声をかけたりとかしないです。
うーん、ナンパやスカウトは、「コニーさんが美人」だからじゃないかな?と思う。 でも、そんなコニーさんも、香港ではまずそうした接触を試みる輩はいないということだ。

::::: 香港人の嫌いなところはどこですか?

コニー: コトバが汚い。 「おいしい」っていうだけなのに、いちいちアソコの名称とか使うんですよ。 日本人はそんなことは言わないでしょう? あとスケベが多い。

::::: "スケベ"は日本人男性のほうが多いのでは!?

コニー: ええ、日本人はスケベですよ。(やっぱりそうなのかよっ) でも、それは 「自分がそうであることを知ってるスケベ」 です。

::::: 日本人は 「オープンスケベ」 だと?

コニー: そうですね、「明るいスケベ」です。 例えばミニスカートやキャミソールを着ていたりすると、香港男はものすごくじろじろ見るんです。 こうやっって・・・・。 すごく気持ち悪い。 日本の男は、相手を気にしてそういったことはしないですね。

::::: うーん、そうですね。 やっぱり遠慮なく、女性の足とか胸元をじろじろ見るのは失礼だという意識はありますね。

そのときぼくは、もしかしたら、香港の女性は「そんな目」に辟易して、女性らしいファッションを楽しめないのかなぁと思った。 ということは、香港女性が日本女性のようにフェミニンなファッションを楽しむようになるためには、香港男性の「むっつりじろじろスケベ」を撲滅するところから、環境作りをしなければならないのかもしれない。

コニーさんは、日本人になりたくて数年前日本へ行ったのだという。そこで1年半、朝の9時から3時まで、みっちり日本語を勉強し、日本の友人を作り、東京の街を徘徊した。 それは彼女にとって、「日本人になるための修行」だったのだ。 「安室ちゃんデビュー」のコニーさんだが、そこで平均的日本人が普通に持つ、"礼儀正しさ"や"清潔感"、"言葉づかい"、"他人への思いやり"を知り、これらに感激した。 そしてこれらを、「修行」によって、自分自身のものにすることが、彼女にとっての「日本人になること」、だったのかもしれない。

「メタファーとしての日本人」
と、ぼくは口に出して言ってみる。

つまり、"国民"や"国籍"というよりは、どちらかというと、"資格"や"ステータス"に近いもの。 それを「向上心」というのなら、彼女の見上げるその場所に、ぼくたち日本人は本当に存在するんだろうか? 単なる買いかぶりだったと、彼女を、失望させたりしないだろうか?
またそれを「おもねる」あまり、「いい人」を演じ続けておしまいってことにならないだろうか。

「日本人に憧れる他のアジア人」を目前に、奢りすぎてしまった不幸な時代があった。 それが結果として、「アジア人蔑視」へとつながり、他民族や他文化を払いのけて"日本"を押しつけてしまった。


愛という感情はまた、憎しみに転じやすい
これは別に、男・女間だけの問題では、ない。







「おまけ」 です ↓




▼ コニーさん出演の映画 『同居密友』

トニー・レオンと、サミー・チャンが主演の2001年香港の作品です。 コニーさんは、なんとトニーの妹役で登場してました。 ちょっと頭の弱い女の子役だったとも。
「どんなシーンだったんですかー?」
「えっと、こうやって・・・・」 と、コニーさんはバッグを持ち上げて、ぼくをそれでぶん殴るふりをします。
「ばーんって、殴ったんです」
ひゃーっ。 すごいですね。 あのトニー・レオンをぶん殴るなんて・・・。「頭の弱い妹役」はとっても「気の強い妹役」なのでした。 さっそくVCDを買ってきて、「なおきんチェック」 してみると、あー、あー、ありました ありました。 きっとこれですね。トニー、涙目になってしまってます。

せっかくですから、みなさんも、その一部を連続写真でご覧ください。



▲ コニーさんのケンカを止めに入るトニー



▲ トニーめがけてバッグを振りかぶり



▲ 見事、トニーの顔面に命中 (イタソー!)



▲ フォロースイングにはいります
 


▲ そのまま殴り逃げするコニーさん



▲ 「イテーなぁ、もーっ!」

コニーさんの出番は、全部のシーンをあわせても10分程度ですが、撮影は毎日10時間の7日間、計70時間もあったそうです。 トニー・レオンは、香港では大スターだそうですが、ぜんぜん気取ったところもなく、休憩時間中、当時ダイエット中のコニーさんに気をつかって、「野菜、どうぞ」ってわたしてくれたりしたそうです。 ファンにはタマらなく羨ましいでしょうね。 「じゃ、トニーのファンになっちゃったでしょ?」と訊くと、「いいえ、アンディ・ラオがダイスキ。結婚したいくらい」ってことだそうです。 うーん、それ、「日本人じゃないじゃん!」 (なおきん、実は全くの芸能オンチです)



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