営業って・・・!?

契約書にサインするサブをみつめながら

今日こそは香港の話題を! とパソコンに向かい、結局香港とは何の関係もない記事を書いてしまう、なおきんです。 お元気ですか?
昨日は気温も下がっていくぶん過ごしやすかった香港。今日は雨模様なので、ちょっぴりおセンチな気分。 「お天気坊や」ならず「おセンチ坊や」っていうわけですね。 はい、香港の話題でした。

では、次いきます

社会に出てから20年を越えるぼくですが、そのほとんどは営業職でした。 ホントいろんなものを売ってきました。 "ホテルの部屋"から始まり、"中型コンピュータ"、"パソコン"、"業務用ソフトウエア"、"婦人用衣料品・雑貨"、"エスニック料理"、"各種会員権"、"探偵調査"、"WEBデザイン"、"広告コピー"、"はんだ"、"サーバー"、"電話通信サービス"・・・。

もう 「ダレだよオレ?」 とか思っちゃいます。 勤め先も、大手ホテルチェーン、国際外資系コンピュータ会社、某大手商社、中小アパレル業者、あるいは友人の探偵事務所や広告代理店を手伝っていたり、子会社の社長やってみたり、はたまた自分で会社作ってみたり、つぶしてみたり・・・。 勤務地も、デュッセルドルフ、東京、セブ島、パリ、ロンドン、そして香港と、まるで国際ジプシーの如しです。

「ダレを尊敬しますか?」
と訊かれれば、まっさきに「一つの会社を勤め上げてきたヒト」と答えるでしょう。 ぼくにはぜったい出来そうにない、ていうか、出来なかったですから。

「営業職」といっても、さまざまな営業ポリシーがあり、売り物があり、お客さんがあり、流通経路があるわけですが、求める結果はただ一つ、「会社の利益」です。 「利益なき営業」はあり得ません。 勤めている会社が営利団体である以上、変わることのない「絶対真理」です。 ぼくがこれまで売ってきた、「数千万円以上する中型コンピュータ」から「980円のしゃぶしゃぶランチ」に至るまで、その真理に変化はありません。

一方で、いくら「利益がとれるから」といって、ぜったいぼくが相容れなかった商品は、「自分が納得できないもの」です。 自分でもどこか疑問のある商品や、自分でもよくわからない商品は、たとえ会社がどんなにぼくの尻を叩こうが、檄をとばそうが、ダメでした。 ぼくのこれまで扱ってきた商品の中で、それに該当するのは、

「各種会員権」 でした。

これは今想い出しても、気持ちが沈み、気分が萎えてきます。 売り込み相手に対し、電話一本で事務所に呼び出したり、街で声をかけたりしながら、「会員権なるもの」を売りつける仕事。
新宿高層ビルの一角にあるデモルームや渋谷の喫茶店、まだ事態がよく飲み込めていないサブ(見込み客)を前にして、ぼくはテーブルの上で手を組み、にっこり微笑みながら、おもむろに製品説明をはじめる。 相手は上京したばかりの学生であったり、デパートの販売員だったり、主婦であったり、プータローだったりしました。
私たちが提供するのは、あなたの人生を豊かにする手段です
そういってぼくが差し出すのは、英会話教室や会員制マリーナのパンフレット。 ジムや海外旅行の割引特典も記載されている。 たしかに一度に並べてみると、あれもこれもと特典が満載だ。 しかし一つ一つを見てみると、結局ダレでも利用できる割引だったり、権利だったりした。 それがしめて40万円。 雑誌やクレジットカードにおまけでついてくる、クソのような特典を集めたパッケージ、がです。
「月々2万円ぽっちで、遠い夢をたぐり寄せることが出来るんです」
そういいながら、心の中では「地獄に堕ちろ、オレ!」と思っていました。 しかもこの仕事、フルコミッション制であるため 「売らなければ今月収入なし」ってことになります。 けれども一つ売れば、7万円の契約料が自分に入ってくる仕組み。 優秀な先輩営業マンなどは月に200万円くらい軽く稼いでいました。

ぼくと同じ地方出身者であるサブたちが、たった30分前まではまったく予想すらしなかった商品のために、これから2年間、なけなしの2万円を毎月毎月支払うことを思い、それでも 「むしろ感謝しながら契約書にサインする姿」を、唇をかみしめながら見つめていました。

後にも先にも、あれほど辛い仕事はありませんでした。

たとえ、上司や取引先からどんな叱責を受けようと、肉体的に辛くとも、あるいは収入の少なさに嘆こうとも、「自分が納得できない商品を販売するよりはマシ

これは、ぼくの得難い体験から学んだことの一つです。
法に反しない以上 「何を売るかは勝手」ですが、売った後で「寝付きと目覚めが悪くなるような商品」には、今後とも手を出したくないものです。


みなさんがもし「営業」するとしたら、なにを売ってみたいですか?





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