時間と存在価値

ゲームソフト会社を経営するS氏との会

「香港イラ写日誌」を始めて116日目
記事文章を書く。 写真撮影をする。 イラストを描く。いただいたコメントを読み、コメントを返す。 さらにいただいたメールを拝読し、これに返事を書く。 ついに一日も欠かすことなく、それらの作業を「イラ写」に費やしたが、その時間は、のべ300時間を下らないと思う。 取材時間やボツ記事、ボツイラスト作成に費やした時間を含めると400時間くらいかけたかもしれない。

一日平均に換算すると、約 3時間

▼ イラ写を始める前と始めた後の時間振りチャート

その時間を、ぼくは「イラ写」のために捻出した(上図参照)。 具体的には、会社での仕事の質を落とさず量を落とす工夫をした。 移動時間の節約のためにタクシーを多用し、会議の効率を上げるため15分毎のアジェンダを決め、必要のないディスカッションには参加しないようにした。 空き時間を有効利用するためにネットカフェを多用した。 睡眠時間を減らす代わりに、質を上げる工夫をした。 TVに向かう時間(ビデオ、番組)を減らし、一切のコンピュータゲームをやめた。

「イラ写」を管理・運営していくために作った時間を、いまこうして振り返ってみると、実にいろんな発見があった。 それを「ひとこと」で言い表すと、これかな。


時間は目的によって作られ、目的の無さに消費される


「自分の目的」や「目指すゴール」があると、それに必要なものが自分にどんどん集まってくる。 情報やヒト、そして時間もそう。 逆に「目的」や「ゴール」がないと、情報もヒトも集まらないし、時間もだらだらと浪費していくように思う。
ともかくこうして抽出した400時間によって、ぼくはコトバでは言い表せない多くのものを得た。 (これについては別記事であらためてふれたい。)

測るモノサシを時間軸におとしてみよう。
現在までにいただいたアクセス数*1、86000に、仮に平均滞在時間3分*2をかけ合わせると、
"86000 x 3分 " で、 4300時間になる。
400時間に対して、4300時間、つまり10倍だ。 同じ計算を、過去30日間限定にすれば、なんと20倍である。 つまり、ぼくが一日3時間費やした「イラ写」は、読者の皆さんすべてを合計すると、一日あたり30時間〜60時間もの時間となって反映していた、ということになる。
ここまで書いて、ぼくは、あるゲームソフト会社を経営する友人S氏のコトバを想い出した。高校時代の同級生で、数少ない上京組のひとりだ。氏曰く、

「ゲームソフト一本作るのに、仮に3人月と考えて100時間かかったとしよう。 でもこのゲームを買った人が100人いて、ひとり当たり10時間遊べば、総時間数は1000時間。 "制作時間"に対して、"遊んでもらえる時間"は、つまり10倍だな。 ヒット作なら分子も分母も多くなって、この倍数が加速度的に増える。 逆に、たとえ作るのに1万時間かけようと、つまらなければそれで遊んでもらえる時間はゼロだってあり得る。 オレ達の価値は、金だけじゃ測れないんだ。 それは、「作り手の時間」と それを楽しむ「遊び手の時間」の倍数で決まるんだ。 クリエーターに必要なのはそんな"社会的存在価値"だ。 『オマエじゃなくてもいいんだ』のひと言はオレ達にとっては"死刑宣告"みたいなもんだからな」(標準語翻訳:なおきん)

ぼくは、S氏のこの言葉がブログにも該当するとは思わない。だいいち、そんなことを考えたらビビってブログなんて開設できない。 営利活動や競争からも距離を置き、「勝手気ままに」始め、「気兼ねなく」やめれるところがブログの良いところだ。 また、そんな「脱緊張感」でやれるから、安心して続けられるのだと思う。

しかし、一方で、「自分のブログの存在価値」について知りたい欲望もどこか、あるのではないか? それが「ランキング登録」の動機となり、「ランキングの上下」に一喜一憂するブロガーの心理ではないか? ブログをヤル以上、毎日欠かさず更新すると決めたぼくは、そんな「社会的存在価値」を自試してみたい心理が働いていたことを、正直に告白しておく。 「個人的存在価値」や「家庭内存在価値」なら、ブログを一般公開する必要はないからだ。



などと「始めた動機はともかく」、こうして今なお続けていられるのは、とにもかくも、いまこれを読んでいただいている読者の存在があり、存在が伝わってくるからです。 「それだけだった」といっても過言じゃないです。

この「100日あまりの日々」は、「数年分の価値に匹敵」していると、ぼくは密かに思っています。 ひとりひとりの顔を思い浮かべながらコメントを書く充実さは、何にも代え難いひとときでした。


いや、まだ過去形じゃないですけど。(笑)




いよいよあとわずか・・。せっかくだしぽちっとしとく?

*1:ヒット数ともいう。 ちなみに、「アクセス数」は「訪問人数」ではない。 たまに、「あなたはXXX」番目の訪問者です」というサイトを見かけるが、正確には、「このページはXXX回開かれました」である。 実際の訪問者数は、詳しいアクセス解析に頼っても正確な数字を判明することは難しい。

*2:イラ写記事平均文字数は2400、ちょうど文庫本の2ページ分に相当する。パソコンの画面ということを考慮すれば、ひとつの記事を読むのに平均10分かかるだろう。 また、コメントの平均文字数は8900(文庫本の約6ページ分!!)。 これも同様に、全部読もうと思えば、30分程度かかるはずだ。一方でほとんど記事を読まれない方もいれば、「更新されてるかどうかのチェック」なら、滞在時間は数秒だし、ありがたい読者が、自身の意見をコメントを濃いめに書けば、小一時間かかることもあるだろう。 アクセスログとリンク先数から判断するにワンアカウント3分というのが、妥当なところかと思われる