日本語ブランド

日本語ブランドは笑えます

銅鑼灣や尖沙咀など香港市街を「タリラリラ〜ン」と歩いていると、15mに一カ所の割合でヘンな日本語の看板にでくわす。 看板だけではない。店先に並べられた商品を手に取ってみれば、商品名や、パッケージに記述されている文章もまた、ヘンな日本語であることに気づく。ヘンさのあまり、思わず「ぷっ」と吹き出す。客が笑えば、商品を気に入ったと勘違いした店員もニコニコする。こうして 店内に笑顔が広がっていく。「笑う門には福来たる」けれどもこの日本語、べつに「福を呼び込むこと」を目的としたものではなさそうだ。 「じゃあ、いったいなんのために?」 それが本日のテーマである。

"SONY"、"トヨタ"、"日清製粉"、"資生堂"・・・ 世界に冠たる日本ブランド、たゆまざる経営努力と製品研究開発の結果、それは信頼、安全、高付加価値製品の代名詞となって、多くの消費者を引きつけてやまない。 "日本製なら安心"という消費者コンセンサスを利用し、それほど有名ではない他の日本メーカーも「ワレも日本製なり」と、より安い自社製品をもって市場参入。対して先行メーカーは「なめんなよ!この青二才」と、さらに付加価値の高い製品を投入。日本ブランドが現在の世界規模に至るには、こうした各社の力と技を切磋琢磨してきた背景があった。 そんな折、
「おまえら侵略者の好きにゃ、させにゃあよ!」
と、こうしてあらわれたのが、香港、台湾、中国を中心とする「大中華ブランド連合」だ。「圧倒的な低価格や政治力をもって失地回復を」と、殴り込む。 がしかし、なかなかこの中から「有名ブランド」が生まれないし育たない。少し儲かるとすぐに商売替えする中華人の「飽きっぽさ」もこれに災いした。 やっぱり「商(あきな)い」は「飽きない」である。昔のヒトはうまいことを言う。
結果、「大中華ブランドでは儲からない」、そう悟ったメーカーは、手っ取り早く「日本ブランド」になろうとした。『日本語使えば日本製』というお手軽計算 。「切磋琢磨なき日本ブランドワールド」の創世だ。
商品に印刷されている日本語。 それは消費者に、「日本製(日本からの輸入品)」だと誤解させて買ってもらうための販売促進手段であった。だから、日本語表記だからといって、けっして日本人に向けられた商品ではない。よって、印刷された日本語が正しいかどうかなんて知ったこっちゃない。買い手も売り手も、日本語がわからないからだ。 確かに安いが、品質はそれ以上に安っぽい。 日本人が手にとっても、それは「店内に笑顔が広がる」くらいのもんである。あえてそれをレジにまで持っていく日本人は、まず「ウケ狙い」と思って間違いない。
食料品、化粧品、衣類、電化製品、工具・・・ こうして「日本語ブランド」は、「日本製は欲しいけど、高くて買えない」消費者のハートをがっちり射止め、拡大していった。
「日本語製品」はまた、「製品」だけにとどまらない。
日式レストランでの「いらっしゃーせ!」、実はろくにしゃべれないのに「日本語できます」と高給をねだる求職者たち・・・。
「ブランドとしての日本語」はこうして、香港で中国で大股で闊歩していく。
もれなく日本人の失笑を買いながら。
格好のブログネタになりながら

▼日本語ブランド商品例 「ビスケット」

「ぷんぷんといいにおいがする」ビスケットです。
一枚に付き、たった2粒のレーズンでにおわせます。2粒ってちょっと、少なすぎやしないか? ぷんぷんっ

▼本日のTシャツ 「つづく」

どこへだよ!


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